2019年6月18日(火)
子供は親をどう見ているか はじめに
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性格はエニアグラムの性格タイプは持って生まれた気質の上に築かれる


 エニアグラムの性格タイプは、その本質的な部分は持って生まれたものと考えられています。生まれてからの環境の影響でタイプが変わるということはありません。誰でも持って生まれた気質があり、タイプはその気質によって決まるという考え方です。

 生まれてからの環境や親子関係が子どもの性格形成に影響を与えるのは、性格の健全度の面においてであるといわれています。
 同じ性格でも、育った環境や育てられ方によって、その性格のポジティブな面を存分に発揮できるか、またその性格のマイナス面がより際立つか、さらにより病的な形で現れるかなどの違いがあります。

 よく長男長女はしっかりしているとか、末っ子は甘えん坊が多いなどといわれます。それは生まれてくる順番によって、親や周りの大人が子どもに対して抱く期待や家庭での役割が違っているからでしょう。それが子どもの性格形成に大きく影響するというのは大いにありうることです。

 そこで、上の子は「お兄ちゃんらしい」「お姉ちゃんらしい」性格を身につけようとし、じっさいにしっかりした子になるかもしれません。末っ子は兄弟のなかでもかわいがられたり、わがままを言っても許されるところがあるため、じっさいに甘えっ子になるかもしれません。

 ですが、その一方で、周りの大人からは、たとえば「お兄ちゃんなのに頼りない」とか、「末っ子のほうがしっかりしている」と見えることがあります。それはもともと、その子の気質が長男長女に期待される性格や末っ子らしいと思われている性格とは一致しなかったということなのでしょう。

 
 

 「女の子らしい」性格・「男の子らしい」性格と見なされている性格があります。一人一人の子供は必ずしもその「らしさ」と一致するとは限りません。一致しないことも多いでしょう。
 男の子だから「男の子らしい」性格であったり、女の子だから「女の子らしい」性格だとは限らないわけです。その子が持って生まれた気質と自分に期待される「らしさ」やそれがより「望ましい性格」とされたとき、本人は自分の本来の性格と期待されている性格との間のギャップで悩むことがあるでしょう。

 また、同じ親に育てられても、子どもが本来持っている性格によって、親の言葉や親の態度をどう受け止めるか、その受け止め方が違ってきます。

 子どもの健全な発達には初期の母子関係がきわめて重要だといわれています。母親は子どもの養育的側面を担う存在であり、包み込むような愛、優しさ、ぬくもり、満足などを与えてくれるものです。

 それは必ずしも実の母とは限りません。祖母や伯母、姉の場合もあるでしょうし、また子供にとってはまったく血のつながっていない人であるかもしれません。男性の場合もあるでしょう。

 その母親的な存在(養育者像)というものを子どもがどう受け止めているか、それはタイプによって違いが見られます。

 次に、母親との一体感から抜け出し、子どもが次第に自立していくころになると、父親ないし父親に代わる存在が重要な役割を持ってきます。父親(保護者像)とは子どもを守り、導いていく存在であり、子どもの自立をうながすとともに、子どもにとって厳しい面があり、権威の象徴でもあります。

 じっさいに、そういった親や親代わりとなってきた人がどんなタイプであれ、子どもの側からすれば、その子に生まれもって備わった性格の本質的な部分が、母親や父親、ないし母親的存在や父親的存在に対して、ある面に独特の敏感さを示し、独特の受け止め方をしているらしいのです。


このことは筆者のエニアグラムの師である、アメリカのエニアグラム研究所のドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソンの著書に、エニアグラムタイプと対象関係論との関連で説明されています。

 エニアグラム【実践編】a ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著 高岡よし子+ティム・マクリーン著

対象関係について、このサイトでは以下にまとめましたので参考にしてください。

 →エニアグラムのタイプと対象関係の関連

 →対象関係から見た三つ組み

 →幼児期の愛着関係(内なる母親像・父親像)

 →幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ3・6・9

 →幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ1・4・7

 →幼児期の愛着関係(対象関係)タイプ2・5・8

 →幼児期の愛着関係とエニアグラムの9つのタイプの関連

筆者はこの章を執筆するに当たってその理論を大いに参考にしていますが、あくまでこれまでやってきたワークショップやインタビューのなかで、それぞれのタイプの人に語っていただいた生の声を重視しています。

 じっさいに子どもが親のことをどんなふうに受け止めていたのか、それぞれのタイプにおいて特徴的と思われる傾向をあげてみました。さらに、インタビューの中で、各タイプの人に自分の親に対してどんな印象を持っているかを語っていただいた部分があるのでご紹介しましょう。




 【子供は親をどう見ているかLINK】

 →子供は親をどう見ているか はじめに/
 →子供は親をどう見ているか タイプ1/
 →子供は親をどう見ているか タイプ2/
 →子供は親をどう見ているか タイプ3/
 →子供は親をどう見ているか タイプ4/
 →子供は親をどう見ているか タイプ5/
 →子供は親をどう見ているか タイプ6/
 →子供は親をどう見ているか タイプ7/
 →子供は親をどう見ているか タイプ8/
 →子供は親をどう見ているか タイプ9/
 
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