2018年10月14日(日)
性格の健全度-3 通常から不健全な段階
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意識のレベル
通常の段階レベル4~6
不健全な段階レベル7~9


【通常の段階】

 通常の段階では自我のアイデンティテイとの同一化が進んできます。「わたしはこういう人間だ」という自己感覚を持ちますが、比較的狭い範囲でしか、自覚しえていません。

 誰かが、「自分はこういう人だから」というのを、あなたも聞いたことがあるでしょう。もしかしたら、あなた自身がそんなふうに言うことがあるのかもしれません。そのとき「わたし」という自我がとらえている「わたし」はある狭い範囲の中でのわたしなのだということです。 

 通常のレベルの範囲内では、レベルが下がるにつれ、より自己中心的になってきます。そうすると、自分で思っている自分と現実とが一致しなくなり、ズレが生じてきます。現実が自己イメージを支えてくれなくなるわけです。すると、私たちは、自分や他人を操作しようとし、対人関係の葛藤を避けることができなくなります。

 レベル4
 レベル4は不均衡のレベルと呼ばれています。「自分はこうゆうものでなければならない」という考えが起きてくる段階です。そのやり方のみでやろうとし、他のやりかたが意識にのぼってこなくなります。

 段階4から下になると、特性的な役割というものがあって、より狭い特性の中で自分は生きていると思うようになります。

 日常性ではレベル4の段階にいる人は普通に見えます。社会生活においてもよく機能しており、かなり成功している部類の人たちになります。

 ※この段階にいれば、誰でも自覚でき、上に上がれると、リソ&ハドソンは述べています。

 レベル5
 レベル5は対人関係支配(葛藤)のレベルと呼ばれます。

 この段階では「自分はこうだ」と言うことを他人に説得しなければならないと感じるようになります。そのイメージを保つために、他者や環境を支配しようとし始めるので、葛藤が起きてきます。

 もし、あなたが他の人との葛藤を抱えているとすれば、レベル5あたりにいると思ってください。多くの人がこの段階にいます。だからこそ、人間関係でのいろいろな問題が生じてくるわけです。

 このレベルでの対人関係では、お互いの自我が互いに譲らず、角突き合わせたような状態になってしまいます。

 レベル6
 レベル6は過補償のレベルと呼ばれます。

 自分はこうだということを無意識により積極的に行動化し始める段階です。そして、自我の計画を他人に押し付けようとします。

 自我肥大(エゴインフレーション)が最大限に達します。

 リソ&ハドソンはここで、キリスト教の「黄金律」ならぬ「鉛の法則」が働くと述べています。


黄金律」とは次のような教えです。
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい」マタイによる福音書7:12 ルカによる福音書6:31

 これは「隣人愛」の根幹にあるものです。キリスト教では「隣人愛」と「神への愛」は等しいものです。
 (余計なことですが、お隣さんと仲良くするってな、レベルの話ではありません)

 そして、リソが名付けた「鉛の法則」とは、この逆になります。

 つまり「どのタイプも自分がいちばんされたくないことを人にする」というのが鉛の法則です。

 鉛の法則は、各タイプが自らの自我を補強するために、他人をひどく傷つける独自の方法をもっていることを指摘しています。

 ※つねに、レベル6あたりにいる人は、性格のネガティブな面(その人の持つ性格の臭み)が濃くにじみ出てくるような感じです。たいてい、誰が見ても、嫌な感じの人に見えます。

 ※通常の段階のなかでも、個人はいずれかのレベルをホームベースとしながらも、いくつかの段階を揺れ動いていることがあります。


【不健全な段階】

 レベル7
 レベル7は「侵害のレベル」と呼ばれます。自分にも他者にも、何らかの害を与えるようになります。健全な社会生活を保ち続けることが極めて困難になってきます。

 レベル8
 レベル8は「妄想と衝動脅迫のレベル」と呼ばれています。普通の生活が出来なくなり、救いの手がもたらされないと段階9に落ちてしまうと考えられています。

 レベル9
 レベル9は「病理的崩壊のレベル」です。この段階になると、自己という構造が保てなくなります。リソ&ハドソンは極めてまれにしかここまでは落ちないと言っています。

 ※注意1:不健全な段階にいる人には、カウンセラーや精神科医など専門家のサポートが必要になってくるとされています。エニアグラムの学びにおいて、健全度のレベルを知っておくことは、精神的になんらかの問題を抱えている人に対して、エニアグラムではどこまで対応できるか、線引きをすることに役立ちます。

 不健全な段階にあると思われる人に対しては、たとえ、好意からでも、善かれと思っての対応でも、エニアグラム的なアプローチでサポートするのではなく、専門家の支援を受けるよううながすのが理想的です。


 ※注意2:健全度のレベルについては、不用意に他人をどのレベルと判断しないようにしたいものです。

 以上、リソ&ハドソンの健全度のレベルについての理論に沿って説明しました。次に、これを各タイプまたは個々人の内面に照らし合わせてみた場合、どういうことが言えるのかを説明します。
 



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